世界最大の旅客機エアバスA380
ヨーロッパの航空機メーカー“Airbus(エアバス)”が開発・製造した「Airbus A380(エアバスエーさんはちまる)」。
4つのジェットエンジンが付いた客室が全て2階建ての世界最大の旅客機です。
ANAは3機を購入しハワイ路線に投入
日本の航空会社では唯一、全日本空輸(ANA)が保有し、東京(成田)~ハワイ(ホノルル)路線に投入しています。
ド派手なウミガメ塗装で、愛称は“空飛ぶウミガメ”という意味を持つ『ANA FLYING HONU(フライングホヌ)』。
コロナ禍で遊覧チャーターやレストランとして活用
2機のFLYING HONUを導入するもコロナ禍でハワイ旅客便を運航することがまともにできず、国内の遊覧チャーターやレストラン会場として使用されている現状です。
新型コロナウイルスの影響により、ハワイ路線の再開の見通しがたたないことから、さらに納入が遅れる可能性もありますね。
ANAがA380で運航する成田発、札幌(新千歳)・沖縄(那覇)・宮古(下地島)着のチャーターフライトを実施
那覇空港と下地島空港にはA380初飛来!
これは楽しみですね!
チャーターフライトスケジュール
新千歳空港発着
- 2021月9月18日
東京(成田)発 札幌(新千歳)着 - 2021月9月19日
札幌(新千歳)発着遊覧フライト - 2021月9月20日
札幌(新千歳)発 東京(成田)着
那覇空港発着
- 2021月9月24日
東京(成田)発 沖縄(那覇)着 - 2021月9月25日
沖縄(那覇)発着遊覧フライト - 2021月9月26日
沖縄(那覇)発 東京(成田)着
下地島空港発着
- 2021月10月30日
東京(成田)発 宮古(下地島)着 - 2021月10月30日
機内見学ツアー in 宮古(下地島) - 2021月11月1日
宮古(下地島)発 東京(成田)着
巨大なA380を新千歳空港のA10ポイント、那覇空港の瀬長島、下地島空港の17エンド(サイド)で撮影してみたい!
僕と同じようにこう思う人はたくさんいるのではないでしょうか?
ですが、僕はこうも思ってしまうのです。
今まで新千歳空港や那覇空港、下地島空港にA380が飛来したことはあるの?
そもそもA380はその空港に着陸できるの?
それではこれから少し突っ込んだ話をしていきたいと思います。
A380が着陸できる空港とできない空港がある
世界最大の旅客機のA380はその大きさから、Boeing(ボーイング)最大の旅客機である747-8(B748)と共に特別な扱いを受けます。
どの空港にも着陸できるわけではなく、空港の消火救難体制、滑走路や誘導路の長さ・幅・強度、他の誘導路との距離などの制限があるため、それをクリアした空港にしか運航することができません。
- 機体サイズ→とても大きい
- 座席数→とても多い
- 機体重量→とても重い
- 翼幅→とても広い
- 外側主脚車輪間隔→とても広い
- などが関係しています。
それは運航計画だけでなく、悪天候時のダイバートや緊急事態発生時における受け入れについても空港ごとに可否が判断されています。
空港カテゴリー(AD category for fire fighting)
飛来する航空機の最大のサイズに合わせて、空港が備えるべき消火救難体制がカテゴリー1からカテゴリー10まで10段階に定められています。
空港カテゴリー(CAT)の一例
空港カテゴリー | 機種 |
CAT10 | A380-800 B747-8 |
CAT9 | A330-300 A340-300 A340-600 A350-900 B767-400ER B777-200/ER B777-300/ER B747-400 B787-9 |
CAT8 | A330-200 A340-300 B767-300 B787-8 B747SP |
CAT7 | A321 B737-800 CRJ100 MD81 MD90 |
CAT6 | A320 B737-500 B737-700 ERJ170/175 ERJ190 CRJ700 DHC8-400 G650 |
CAT5 | DHC8-300 CRJ100/200 ATR42-600 SAAB2000 G450 |
CAT4 | SAAB340 F900 DHC8-100/200 ATR42-600 |
CAT3 | C525 DHC6 Twin Otter Do228 |
A380とB748の2機種のみ最高等級のカテゴリー10。
日本国内におけるカテゴリー10対応空港は成田・羽田・関西の3空港だけです。
新千歳・那覇・下地島はカテゴリー9の空港なので、A380とB748には対応していません。
AIP JAPANにも空港ごとにカテゴリーが掲載されています。
成田空港(CAT10)
羽田空港(CAT10)
新千歳空港(CAT9)
那覇空港(CAT9)
下地島空港(CAT9)
参考
- CAT3=調布・粟国 etc.
- CAT4=天草・喜界 etc.
- CAT5=壱岐・三宅島 etc.
- CAT6=福江・北大東・南大東 etc.
- CAT7=八丈島・松本・紀白浜・奄美 etc.
- CAT8=釧路・中標津・花巻・宮古 etc.
航空機コード(aircraft code)
ICAO(国際民間航空機関)が航空機の翼幅サイズによって、A~Fの6段階で航空機コードを定めています。
主な航空機の航空機コード
航空機コード | 機材 |
F | A380-800 B747-8 B777-9 |
E | A330-300 A340-600 A350-900 A350-1000 B747-400 B747-SP B777-200 B777-300 B787-8 B787-9 B787-10 |
D | A300-600 A310-200 B767-300 B757-300 DHC8-400 |
C | A318-100 A319-100 A320-200 A320neo A321-200 A321neo B737-500 B737-800 B737-8 MD-90-30 DHC8-300 ERJ170 SAAB340B |
B | ATR-42-600 ATR72-600 CRJ100 CRJ200 DO228 |
A | BN-2B |
これは、航空機の大きさに関係する障害物とのクリアランスなどを規定したもので、空港の飛行場等級などによってコードFの飛行機が就航できるかが決まります。
就航するには滑走路と平行誘導路との中心線間隔が180m以上、誘導路と誘導路の中心線間隔が91m以上必要だったりします。
コードFの基準が緩和されたので着陸できないことはないですが、滑走路の長さだけでなく滑走路の幅も60m以上が推奨されています。
滑走路の長さと幅は全国飛行機写真撮影スポットで空港ごとに掲載しているので、こちらで確認してくださいね。
例えば、熊本空港の滑走路の長さは比較的長めの3000メートルですが、幅は45メートルしかありません。
それ以外にも2階建てのバカでかいA380に対応したエプロンやスポット、PBBなどの整備も必要になってきます。
他にも誘導路幅だったり滑走路・誘導路・エプロンのショルダーや着陸帯についてもいろいろと定められていますが、ややこしくなるのでこれくらいにしておきますね。
那覇空港の飛行場等級
那覇空港は、第2滑走路増設時にA380が利用する前提で設計されているようなので、コードF対応でしょう。
あくまで予想ですが、離着陸は第2滑走路(18R/36L)を使用するものと思われます。
下地島空港の飛行場等級
こちらは確認できませんでした。
過去にコードEのB747-400が訓練で飛来していましたが、その上のコードFに対応できるか定かではありません。
滑走路と平行誘導路の中心線間隔は180メートル以上あり、誘導路幅も30メートルのようなので、この点はクリアしてそうですね。
就航するにあたり、その点は調整されているはずですけど。
離着陸できても運航制限がある空港
成田・羽田・新千歳空港においては、AIP JAPANにA380の運航制限について掲載されています。
成田空港
国内で唯一A380が定期便として運航されている成田空港ですが、こんなにも制限されていました。
白塗りのAreas permitted for A380が走行が許可されたエリアで、斜線で示されたAreas restricted for A380が走行が制限されたエリアです。
成田空港でのA380の離着陸がA滑走路の16R/34Lでしか行われない理由はここにあります。
羽田空港
走行禁止経路がこんなにも。
第1ターミナルや第2ターミナルのエプロン付近はほぼ走行不可となっています。
ちなみにルフトハンザドイツ航空のB747-8が就航していますが、こちらも走行禁止経路があります。
意外にもJALが国内線で運航しているA350-900においても走行禁止経路が設定されています。
ANAが使用している第2ターミナルの展望デッキからよく見えるスポット一帯は走行禁止区域になっていますね。
新千歳空港
『A380-800 AND B747-8 MOVEMENT AREA』
色が塗られた部分が走行が許可されたエリアです。
『Special notice to A380-800 and B747-8 operators』
- 滑走路は、ターミナルに近い方の01L/19Rのみ離着陸可能
- 駐機スポットは、27,47,48,49,57,58のみ使用可能
実際に以前慣熟飛行で新千歳空港に飛来した際はそうだったようですし。
絶滅危惧種のA380
このように超巨大な旅客機エアバスA380は、その大きさから様々な条件下において運航されているため、どこの空港でも着陸できるわけではありません。
航空機メーカーのエアバスは、すでにA380の生産を終了。
A380を保有する世界の大手航空会社は次々とA380の運航停止や退役を発表しているので、今まで以上に見ることが少ない珍しい飛行機になっていきそうです。
全保有機の退役を完了、もしくは計画している航空会社一例
地元の〇〇空港にもA380を飛ばしてー!などと思っている方の夢を壊してすいません。
※本内容は、様々な規程を確認したうえで解説しておりますが、規程は頻繁に改正されるものなので、今後数値などにズレが生じることもありますがご了承ください。
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