先日エアバスがA380の生産を打ち切るという衝撃のニュースが飛び込んできました。
A380の最大顧客であり、A380を100機以上運航しているUAEのエミレーツ航空は、発注済みのA380型機をA350-900型機(A350XWB)やA330-900型機(A330neo)へ発注変更をしました。
それと同時にエアバスはA380の生産を現在受注している機体の引き渡しが完了する2021年に打ち切ると発表。
エアバスによると最大の顧客であるエミレーツ航空がA380の発注を減らし、中型機に切り替えたことが原因だということで、「十分な受注がないため、生産を続けられる根拠がない」と説明しています。
そんなエミレーツ航空がA380をキャンセルしてまで選択したA350XWBとA330neoはどのような機体なのか写真付きでご紹介します。
A380とは
ちなみにA380が登場するまではボーイングのB747が世界最大の旅客機でした。
僕は2回A380のビジネスクラスに乗っています。
実は2回ともアッパーデッキ(2階)のビジネスクラスだったため、1階部分やエコノミークラスを体験したことがありません。
エミレーツ航空のA380
A380の最大の顧客、エミレーツ航空。
この記事を書いている2019年2月現在、108機のA380を保有しており、世界のA380の約半数をこのエミレーツ航空が保有していることになります。
エミレーツ航空公式HPにA380の保有機数などの詳細が載っています。
A380を運航する世界の航空会社
世界でA380を運航する航空会社がこちら。
- エミレーツ航空(EK/UAE)
- エティハド航空(EY/ETD)
- カタール航空(QR/QTR)
- エールフランス航空(AF/AFR)
- ルフトハンザドイツ航空(LH/DLH)
- ブリティッシュエアウェイズ(BA/BAW)
- アシアナ航空(OZ/AAR)
- 大韓航空(KE/KAL)
- 中国南方航空(CZ/CSN)
- シンガポール航空(SQ/SIA)
- タイ航空(TG/THA)
- マレーシア航空(MH/MAS)
- カンタス航空(QF/QFA)
皆さんご存知の大手航空会社がずらりと並んでいますよね。
エールフランス
ルフトハンザドイツ航空
タイ航空
シンガポール航空
アシアナ航空
大韓航空
マレーシア航空
シンガポールのチャンギ空港ではA380が3機が並ぶ光景も見ることができます。
マレーシアのクアラルンプール空港ではマレーシア航空とエミレーツ航空のA380を見ることができました。
香港空港ではブリティッシュエアウェイズとエミレーツ航空のA380の並びも。
発注変更したエアバスの2機種とは
A350-900(A350XWB)
A350 XWBはまったく新しい、妥協のない21世紀の設計で、幅広く、高さのある胴体を持ち、客室にゆとりのスペースを提供し、快適性を向上しています。A350 XWBファミリーは2機種で構成され、その中のA350-900は標準で325座席を装備し、8,100海里を飛行します。
A350-900は、最新鋭A350 XWBファミリーの基準となる機種で、中距離から長距離、超長距離路線における未来の空の旅を形作ります。標準で3クラス制の325席を装備し、最先端の快適性と機内装備によって、すべての乗客が心地のよい空の旅を楽しむことができます。
2018年、シンガポール航空がそのA350-900ULRで世界最長路線となるシンガポール〜ニューヨーク線に就航しました。なんと飛行時間は18時間45分、飛行距離は16700km(地球半周近く)にもなります。
エアバス
ベトナム航空
チャイナエアライン
キャセイパシフィック航空
香港航空
カタール航空
シンガポール航空
アシアナ航空
快適でしたが、予想外の事態が起きた飛行機でもありました。
A330-900(A330neo)
高い人気を誇るワイドボディ機A330ファミリーの実績をベース2014年7月、正式にA330neoをローンチしました。A330neoファミリーには A330-800neoとA330-900neoがあります。
A330neoファミリーは大幅に効率性を向上し、新客室ブランドのAirspace by Airbusを初導入することによって、最も洗練された新しい空の旅を提供します。
A330neoは燃費を削減し、大幅な節約が可能な効率性の高い航空機です。最新世代のロールス・ロイス社製Trent 7000エンジンを装備します。空力性能を向上し、複合材製の新しいシャークレットを装備します。シャークレットによって、A330neoは翼幅が3.7メートルに伸び、揚力が増加、空気抵抗を削減しました。
胴体を延ばしたA330-900neoは標準で3クラス制の287席を装備し、全席エコノミー仕様では最大440席を装備し、6,550海里を飛行することができます。
エアバスはA330neoのローンチから初号機引き渡しまで、42ヶ月という短期間でプログラム開発を進めており、2018年には初号機納入が予定されています。
まだ乗ったことはないですが、2018年6月に香港空港で実証飛行試験ツアー中のA330-900を撮影することができました。
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なぜ発注変更?A380・A350XWB・A330neoを比較
機体の概要を見比べてみましょう。
A380-800 | A350-900 | A330-900 | |
---|---|---|---|
全長 (m) | 72.7 | 66.8 | 63.7 |
全幅 (m) | 79.8 | 64.8 | 64.0 |
全高 (m) | 24.1 | 17.1 | 16.8 |
エンジン (個) | 4 | 2 | 2 |
座席数 (3クラス) | 544 | 325 | 287 |
航続距離 (km) | 14800 | 15000 | 13334 |
初飛行 (年) | 2005 | 2013 | 2017 |
機体価格 (mil.$) | 445.6 | 317.4 | 296.4 |
機体のサイズはやはり世界最大の旅客機A380が大きいですね。
3クラスの座席数はA380はA330-900の倍ほどにもなります。
機体価格(1ドル110円計算)はA380は約500億円、A350-900は350億円、A330-900は320億円。
当たり前ですが、大きな飛行機になるほど機体価格が高額になっています。
ですが、ひとつだけあまり変わらないこと。
それは航続距離!
昔は大きな翼(燃料タンクは翼の中にあるため)を持ち、たくさんのエンジンを装着した飛行機によってより遠くへ飛ぶことが可能とされていましたが、最新鋭のA350XWBやA330neoは燃費効率が向上し、中型機クラスでも長距離飛行が可能になりました。
A380は大量に人を輸送することが可能ですが、その路線も限られてしまいます。
大きな飛行機を飛ばすにはその分のコストもかかり、搭乗率が悪いと大赤字になってしまうことも。
また、前述の「A380を運航する世界の航空会社」でも触れましたが、購入費用・整備費用・運航費用など大手航空会社でしか購入できない実情があります。
しかもニュースではあまり触れられていないですが、A380を購入する大手航空会社は基本的には中古でなく新造機を購入(リース)するため、その航空会社でのA380の運航を終えて次に売却する際、次の買い手が見つからないという問題もあるんです。
中古購入機材で運航している中小航空会社は、維持費用の問題からも中古であってもA380はいらないですからね。
A380の生産は2021年で中止されますが、今年はANAへの納入もありますし、世界での運航が終わるわけではありません。
200機以上のA380が世界で飛んでいるので、いつか「運航終了」となってしまう前にできるだけたくさん世界最大の旅客機に乗っておきたいですね。