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【基礎知識3】実践編!エアバンドの航空無線用語がわかる!実際に空港で管制と飛行機の交信を聞いてみる

エアバンドを聞けば飛行機撮影幅も大きく広がる!

航空管制官とパイロットとの交信は航空無線を使用しており、その内容は「エアバンドレシーバー(通称:エアバンド)」という無線機を使えば誰でも聞くことができます。

 

まだ「エアバンド基礎知識1」「エアバンド基礎知識2」を読んでいない方はお先にそちらをどうぞ。

たーびん
第1弾ではフォネティックコードとコールサイン、第2弾では滑走路番号や風向風速について説明しました。

今回は実践編!
分かりやすく説明していきます!

航空無線の周波数は各空港の飛行機写真撮影スポットに掲載しているので参考にしてくださいね。

航空管制の流れは大きく分けて3種類

たーびん
飛行機は自由に空を飛んだり、地上を走ったりしているわけではありません

国土交通省航空局や防衛省自衛隊に属する航空管制官の指示や誘導によってコントロールされています。

使用される周波数は1つだけでなく、様々なセクションにわかれており、パイロットは何人もの管制官とコンタクトを取りながら目的地に向かいます

それではまず始めに、飛行機が出発空港から到着空港までどのように管制官にコントロールされているか一連の流れを説明していきましょう。

飛行場管制業務

基本的に管制塔にいる航空管制官の業務といっていいでしょう。

主に管制塔から飛行機の駐機場から滑走路への地上走行、離陸、空港周辺管制エリアを出るまでの出発を担当しています。

  • 空港での地上走行指示
  • 離着陸の許可の発出
  • 管制圏内の飛行指示

ターミナル・レーダー管制業務

管制塔ではなくレーダー室にいる航空管制官の業務

レーダー画面を見ながら飛行場管制圏から出た出発機を効率よく上昇させ、管制間隔を設定し航空路(空の道)にうまく乗れるようにレーダー誘導します。


到着機は高高度から目的地へと効率よく降下させ、飛行場管制に引き継ぎます。

  • 上昇、降下の指示
  • 飛行経路等の指示

航空路管制業務

こちらも管制塔ではなくレーダー室にいる航空管制官の業務

レーダー画面を見ながら雲の上など高高度に達する航空機に対し、飛行経路の指示を行いながら巡航高度への上昇、目的地空港への降下指示を行います。

  • 経路・高度等の指示
  • 巡航高度への上昇、降下時に他の航空機との間隔を設定
  • 空港への到着機を順序よく一定の間隔で並べる

空港でエアバンドを聴くなら飛行場管制を知っておくべし

たーびん
続いては実際に羽田空港から福岡空港に向かう便で例えて説明しましょう。

パイロットは基本的に次の6つの管制と交信しながら羽田空港から福岡空港に向かいます。

  1. 東京飛行場管制(飛行場管制)
  2. 東京ターミナル管制(ターミナル・レーダー管制)
  3. 東京航空交通管制(航空路管制)
  4. 福岡航空交通管制(航空路管制)
  5. 福岡ターミナル管制(ターミナル・レーダー管制)
  6. 福岡飛行場管制(飛行場管制)

こちらは国土交通省航空局の資料でわかりやすくまとめられています。

飛行場管制所がスポット(駐機場)を出て離陸するまで、着陸(前)からスポットに到着するまでを担当します。

たーびん
ということで、空港で飛行機撮影をするためにエアバンドを聴くなら飛行場管制を理解しておけば問題なし!!

着陸機の着陸滑走路を早めに知りたいならターミナル・レーダー管制を知っていた方がいいですけど、今回は割愛しますね。

それでは次は飛行機撮影するためにエアバンドを聞くならとても重要な飛行場管制について詳しく説明していきます!

飛行場管制(出発機編)

まずは出発機に対する飛行場管制について。

大きく分けて、次の4つのポイントを押さえておけば問題ありません。

  1. クリアランス(clearance)
  2. プッシュバック(push back)
  3. タクシー(taxing)
  4. テイクオフ(take off)
たーびん
今回は、クマリエア(Kumari Air)101便が羽田空港63番スポットから福岡空港に向かうと仮定しましょう。

第1ターミナル63番スポットから北側に機首を向けてプッシュバック。
誘導路M-2、E、S、S-1を地上走行し、滑走路05で離陸する流れとして、1つ1つ説明していきますね。

これからご紹介する実際の交信例では、パイロット(飛行機)は青字、管制官は黒字で表しています。

クリアランス(clearance)

飛行機は事前に「飛行計画(フライトプラン)」というものを提出する必要があり、経路・高度・運航時刻などについて、あらかじめ管制官の承認を受けなければなりません。

そのためパイロットは出発約5分間に管制官に対して、事前に提出していたフライトプラン(Flight Plan)の承認の要求をします。

これをクリアランス(clearance)といいます。

実際の交信例

Tokyo Delivery , Kumari Air 101 , Spot63 , with Information G(Golf).
(東京デリバリー、こちらクマリエア101便。現在スポット63番にいます。ATIS情報Gを入手しています。)

Kumari Air 101 , Tokyo Delivery , Go ahead.
(クマリエア101便、こちら東京デリバリーです。どうぞ。)

Destination to Fukuoka , Request clearance.
(福岡行き、管制承認をリクエストします。)

Kumari Air 101 , Clearance.
(クマリエア101便、クリアランスです。)
Cleared to Fukuoka Airport via VAMOS THREE DEPARTURE then flight planned route.
(福岡空港へVAMOS THREE DEPARTURE経由、フライトプランでの飛行を許可します。)
Maintain 6000 , Expect flight level 280, Departure frequency 126.0, Squawk 1234. 
(高度は28000フィートを予定、離陸後指示があるまでは6000フィートを維持、離陸後の周波数は126.0、スコークコードは1234です。)

Kumari Air 101 , Cleared to Fukuoka Airport via VAMOS THREE DEPARTURE then flight planned route.
(クマリエア101便、福岡空港へVAMOS THREE DEPARTURE経由、フライトプランで飛行します。)
Maintain 6000 , Expect flight level 280, Departure frequency 126.0, Squawk 1234. 
(高度は28000フィートを予定、指示があるまでは6000フィートを維持します、離陸後の周波数は126.0、スコークコードは1234です。)

Kumari Air 101 , Read back is correct.
(クマリエア101便、正しく復唱できました。)
Contact Tokyo ground 118.225 when ready.
(プッシュバックの準備ができたら東京グランド(周波数:118.225)と交信してください。)

Roger , Contact Tokyo ground 118.225 , When ready for push back , Kumari Air 101.
(クマリエア101便、了解しました。プッシュバックの準備ができたら東京グラウンド118.225とコンタクトします。)

このように航空機から管制官に対し、事前に提出したフライトプランについての管制承認(クリアランス)を要求し、飛行ルートや高度について承認をもらい、パイロットはそれを復唱します。

実際には、羽田空港ではこのような交信は行っておらず、データリンクというものを使用し音声ではなくメールのような文字での通信を行なっています。

また、トラフィックの多い空港ではこのように管制承認専用の周波数「管制承認伝達席(Clearance Delivery)」が設けられていますが、これがない空港では「地上管制席(Ground Control)」「タワー(Tower)」がこれを担っています。

プッシュバック(push back)

飛行機はバック(後退)ができない(※厳密にいうとしない)ため、トーイングカーに押されて下がります。
このことをプッシュバック(push back)といいます。

実際の交信例

Tokyo Ground , Kumari Air 101 , Spot63 , Request push back.
(東京グラウンド、こちらクマリエア101便。現在スポット63番にいます。プッシュバックをリクエストします。)

Kumari Air 101 , Tokyo Ground , Push back approved runway 05 heading North.
(クマリエア101便、こちら東京グラウンドです。ランウェイ05へのプッシュバックを承認します。機首を北側に向けてプッシュバックしてください。)

Push back approved runway 05 heading North , Kumari Air 101.
(こちらクマリエア101便、機首を北側に向けてランウェイ05へのプッシュバック了解しました。)

プッシュバックの必要がなく、自走でスポットを離れることができる場合は、ここを飛ばして次のタキシングとなります。

タキシング(taxing)

自走できる状態になると、滑走路に向けて地上を走行。
これをタキシング(taxing)タクシー(taxi)といいます。

実際の交信例

Tokyo Ground , Kumari Air 101 , Request taxi.
(東京グラウンド、こちらクマリエア101便。地上走行をリクエストします。)

Kumari Air 101 , Tokyo Ground , Taxi to holding point S1 via M2 E S.
(クマリエア101便、こちら東京グラウンドです。タキシーウェイM2,E,Sを経由して停止位置S1まで進んでください。)

Taxi to S1 via M2 E S , Kumari Air 101.
(こちらクマリエア101便、タキシーウェイM2,E,Sを経由してS1まで走行、了解しました。)

地上走行中に滑走路が近くなると東京グラウンドから東京タワーと交信するよう指示があります。

実際の交信例

Kumari Air 101 , Contact Tokyo Tower 118.725.
(クマリエア101便、東京タワー(周波数:118.725)と交信してください。)

Contact Tokyo Tower 118.725 , Kumari Air 101.
(こちらクマリエア101便、東京タワーと交信します。)

東京タワーと交信し、滑走路手前で待機するよう指示される場合は次のような交信が行われます。

実際の交信例

Tokyo Tower Kumari Air 101 , Now ready.
(東京タワー、こちらクマリエア101便、離陸準備はできています。)

Kumari Air 101 , Roger , Hold short of runway 05 ,Follow the traffic.
(クマリエア101便、了解しました。前の機体に続いてランウェイ05手前で待機してください。)

Hold short of runway 05 , Follow the traffic , Kumari Air 101.
(クマリエア101便、前の機体に続いてランウェイ05手前で待機、了解しました。

テイクオフ(take off)

飛行機の離陸準備が整い、滑走路がクリアになるなど、条件が整うと離陸の許可が出ます。

実際の交信例

Kumari Air 101 , Runway 05 Line up and wait.
(クマリエア101便、ランウェイ05に入り待機してください。)

Runway 05 Line up and wait , Kumari Air 101.
(クマリエア101便、ランウェイ05に入って待機、了解しました。

Kumari Air 101 , Wind 070 (degrees) at 18 (knot) , maximum 25 knot , Runway 05 , Cleared for take off.
(クマリエア101便、風は70度の方向から18ノット、最高で25ノット。ランウェイ05からの離陸を許可します。)

Runway 05 , Cleared for take off , Kumari Air 101.
(クマリエア101便、ランウェイ05からの離陸許可、了解しました。

このような流れで飛行機は離陸していきます。

ちなみに離陸許可を出す際には必ず“cleared for take off”と離陸滑走路“runway XX”、併せて風の情報が伝えられます

離陸して数秒後、空港の敷地を出たくらいのところで東京ディパーチャーとコンタクトするよう指示が出ます。

実際の交信例

Kumari Air 101 , Contact Tokyo Departure 126.0.
(クマリエア101便、東京ディパーチャー(周波数:126.0)と交信してください。)

Contact Tokyo Departure 126.0 , Kumari Air 101 , Good Day!!
(クマリエア101便、東京ディパーチャー126.0と交信、了解しました。グッデイ!

Good Day!!

たーびん
ざっくりですが、以上がスポット(駐機場)から離陸するまでの出発の流れとなります。

みなさんわかっていただけたでしょうか?

飛行場管制(到着機編)

続いて到着機に対する飛行場管制について説明していきましょう。

大きく分けて次の3つのポイントを押さえておけば大丈夫です。

  1. 進入継続(continue approach)
  2. 着陸許可(landing  clearance)
  3. タクシー(taxing)
たーびん
それでは、クマリエア(Kumari Air)101便が福岡空港ランウェイ16で着陸し、8番スポットに入ると仮定。

福岡空港に滑走路16で着陸し、E9誘導路から滑走路を離脱、誘導路A、K4を通って8番スポットに到着する流れとして、1つ1つ説明していきますね。

こちらも実際の交信例では、パイロット(飛行機)は青字、管制官は黒字で表しています。

進入継続(continue approach)

降下し最終の着陸態勢に入った頃、交信を福岡ターミナル・レーダー管制(アプローチ)から福岡タワーに移されます。

トラフィックの多い福岡空港では福岡タワーとコンタクトしてすぐに着陸許可が出ることはほとんどなく、着陸進入を継続するよう指示がでます。

実際の交信例

Fukuoka Tower  , Kumari Air 101 , Departed MALTS.
(福岡タワー、こちらクマリエア101便、MALTSを過ぎました。

Kumari Air 101 , Fukuoka Tower , Continue approach runway 16.
(クマリエア101便、福岡タワーです。ランウェイ16への進入を継続してください。)

Continue approach runway 16  , Kumari Air 101.
(こちらクマリエア101便、ランウェイ16への進入継続、了解しました。) 

トラフィックがほとんどない場合にはタワーとコンタクトしてすぐに着陸許可が出ることもあります。
ウェイポイントについては下の記事をご覧くださいね。

着陸許可(landing clearance)

着陸できる状態が整うと、管制官から着陸許可が出ます。

実際の交信例

Kumari Air 101 , Fukuoka Tower , Runway 16 , Cleared to land , Wind 210(degrees) at 8(knot).
(クマリエア101便、こちら福岡タワー、ランウェイ16への着陸を許可します。風は210度方向から8ノットです。)

Cleared to land runway 16  , Kumari Air 101.
(クマリエア101便、ランウェイ16への着陸許可、了解しました。) 

着陸許可を出す際には必ず“cleared to land”と着陸滑走路“runway XX”、併せて風の情報が伝えられます。

この許可が出ないと着陸してはいけません。

タクシー(taxi)

滑走路に機体や物体があると次の航空機の離着陸ができないので、着陸後は速やかに滑走路を離脱します。

実際の交信例

Kumari Air 101 , Fukuoka Tower , Pick up E9 , Contact Fukuoka Ground 121.7.
(クマリエア101便、こちら福岡タワー、E9で滑走路を離脱し、福岡グラウンド(周波数:121.7)とコンタクトしてください。)

Pick up E9 , Contact Fukuoka Ground 121.7 , Kumari Air 101.
(クマリエア101便、E9で滑走路離脱し福岡グラウンド121.7とコンタクト、了解しました。) 

滑走路を出て福岡グラウンドとコンタクト。

実際の交信例

Fukuoka Ground , Kumari Air 101 , E9.
(福岡グラウンド、こちらクマリエア101便、E9にいます。)

Kumari Air 101 , Fukuoka Ground , Taxi to spot8 via A, K4.
(クマリエア101便、福岡グラウンドです。A、K4経由でスポット8に向かってください。) 

Taxi to spot8 via A,K4 , Kumari Air 101.
(こちらクマリエア101便、A、K4経由でスポット8に走行、了解しました。)

こうして飛行機は駐機スポットに到着。
PBB(パッセンジャーボーディングブリッジ)やパッセンジャーステップ車が取り付けられ、お客さんは降機する流れとなります。

たーびん
以上が着陸からスポットインするまでの出発の流れとなります。

代表的な流れをご紹介しましたが、みなさんわかっていただけたでしょうか?
周波数は各空港の飛行機写真撮影スポットのページに掲載しているので調べてみてくださいね。

航空無線用語を知っておこう

たーびん
航空用語は簡略化された普通の英語を使用していると思ってもらっていいですが、普通の英語でのやりとりでは使用されない単語がたまに出てきます。

航空用語のすべてを紹介することは多過ぎてできませんが、代表的な単語をご紹介します。

「はい」は「Yes」ではなく「いいえ」は「No」ではない

通常の英語では質問に対し、「はい」と答える場合は「Yes」ではなく「Affirm(アファーム/エイファーム)」、「違います」と答える場合は「No」ではなく「Negative(ネガティブ)」を使います。

affirm

Confirm , We are cleared to land?
(確認します、着陸許可は出ていますか?)

Affirm , I say again , You are cleared to land runway 16.
(はい、もう一度言いいます。ランウェイ16への着陸を許可します。)

negative

Kumari AIr 101 , Taxi to spot 8.
(クマリエア101便、8番スポットまで走行してください。)

Taxi to spot 6 , Kumari Air 101.
(クマリエア101便、6番スポットまで走行します。)

Negative , Your spot is 8‼︎ Taxi to spot 8.
(違います。スポットは8番です。8番スポットまで走行してください。)

「OK」ではなく「Roger」が基本

「わかった」「了解」は、「OK」ではなく「Roger(ラジャー)」を使います。

Kumari AIr 101 , Report when ready.
(クマリエア101便、準備ができたら教えてください。)

Roger , Report when ready , Kumari Air 101.
(了解ました。クマリエア101便、準備ができたら一報します。)

たーびん
他にもたくさんありますが、今回はこれくらいにしておきます。

ぜひ実際に空港に行ってエアバンドを聴いてみてくださいね!