下地島空港2路線目となる関西線就航
2019年7月3日(水)、ジェットスター・ジャパン(JJP/GK)は関西-下地島線の運航を開始しました。
同社の下地島就航は3月30日に就航した成田に続き2路線目。
通常は週4往復(月水金日)運航で、夏休みの繁忙期は1日1往復に増便します。
運航スケジュール
7月3日から19日、9月1日から10月26日
GK377 関西(15:50)→下地島(18:15)
運航日:月水金日
GK378 下地島(18:55)→関西(21:15)
運航日:月水金日
7月20日から8月31日
GK377 関西(15:50)→下地島(18:15)
運航日:毎日
GK378 下地島(18:55)→関西(21:15)
運航日:毎日
※木曜のGK377便は関西(16:00)→下地島(18:20)
関西線就航3日目の7月7日(日)、下地島空港で関西からのGK377便を撮影後、関西への折り返しGK378便を撮影するため待っていると、その便が急遽「欠航」に!
宮古島バブルでホテルの空室がないなか、アクセスを絶たれた空港に取り残された乗客はどうなったのか。
不可解な欠航理由は何だったのか。
その裏側を考察してみたいと思います。
関西→下地島 GK377便「遅延」
まずは着陸を【A】R/W17進入真下で撮影。
ジェットスター・ジャパン(JJP/GK) A320-200 JA03JJ
定刻(18:15)から20分程遅れての到着となりました。
引き続き出発便の撮影のため、しばらく待機します。
下地島→関西 GK378便「欠航」
19:20になってもエアバンドからはパイロットと管制官の交信は聞こえることはなく、飛行機は動きません。
心配になり、ホームページを確認してみると・・・
GK378便「欠航」
急遽欠航になった模様!何があったのか?!とにかく翌日に臨時便GK7800便が運航されるようです。
(欠航理由は記事後半で)
欠航により下地島空港に取り残された乗客の悲劇
今回のジェットスターのように下地島空港で急に欠航が決定し、翌日の運航となった場合、搭乗予定だった乗客はどのような対応を受けるのか?
実際に今回のような19時15分頃に欠航が決まったことを仮定し、ご説明します。
欠航時の保証
ジェットスターのようなLCCには大手航空会社のような「欠航時の保証」はありません。
搭乗便の振替か払い戻しのみで「代替交通手段の手配」や「宿泊代の補助」などはないのです。
今回のように下地島空港で急に欠航が決定し、翌日の運航となった場合は、「自分でホテルを手配」し、「自分でホテルに移動」し、「自分のお金でホテル代を支払う」こととなります。
宮古空港発着便への振替
同じ宮古島市にある宮古空港にはジェットスターは就航していないので、振替はありません。
また、自費で宮古空港出発便に乗ろうとしても宮古空港の最終便は19:45発(那覇行き・羽田行き)なので全く間に合いません。
下地島空港の立地
下地島空港は自然に囲まれ、周りになにもありません。
最終のバスはこの前便のジェットスターの到着(18:15)に合わせて出発しているため、もうありません。
ホテルが多く存在する宮古島市街地へはタクシーで約25分、約3500円ほどかかります。
宮古島バブルによるホテルの空室状況
宮古島に知り合いなどがいない場合、ホテルに宿泊することになると思います。ですが、宮古島は伊良部島大橋開通により観光客が急増し、島は「宮古島バブル」と言われる異常なまでの好景気。
地価が高騰し、ホテルや賃貸住宅の建設ラッシュにより、人手不足や住宅不足が発生し異常な景気となっています。
その「宮古島バブル」の影響で観光客数にホテル客室数が追いついておらず、ホテルの空室がほぼない状況。
特に当日予約となるとなかなか空室がないと予想されます。
宮古島や下地島はそんな状況なのに欠航になってしまったらどうなるの?!
ジェットスターA320の座席数は180席もあるんでしょ?
これが安い運賃で運航するLCC(ローコストキャリア)の対応となります。
関東圏(成田・羽田)と関西圏(伊丹・関西・神戸)を結ぶ便は多く運航されている上に、新幹線やバスといった代替交通手段もありますが、孤島化した下地島空港で欠航になると最大180人の人が空港に取り残され、滞留していまう可能性が高いです。
LCCに乗るには安い運賃と引き換えにそれくらいの覚悟が必要かもしれませんね。
下地島→関西 GK7800便「臨時便」
翌日、臨時便を撮影しに再び下地島空港へ。
昨晩トーイングされ、ターミナルから離れたスポットに駐機されていました。
訓練で飛来していたエア・ドゥ(ADO/HD)と成田から到着したジェットスター・ジャパン(JJP/GK)が揃い、1日にたった2便しか定期便が就航していない下地島空港に旅客機が3機も!
搭乗スポットにトーイング。
成田行きと関西行きが並びました。
その後、臨時便の出発を【K】北側ゲートで撮影しようと待機するも出発予定時刻の11:30を過ぎても動きなし。
結局この臨時便も遅延運航し、出発予定時刻を1時間も過ぎた12:30に出発、R/W17で離陸しました。
十分な説明もなく夜の下地島に放り出された乗客は、翌日の臨時便でも1時間も遅延と散々振り回されたのでした。
GK378便の欠航理由とは
その理由は…
「運用時間延長申請が認められなかった」
機材整備や悪天候によるものではありません。
天候もよく、飛行機も飛べる状況だったのに、ただただ離陸できなかったのです。
下地島空港の運用時間
下地島空港の運用時間は
8:00〜19:30
運航スケジュールの出発時刻とは、飛行機がプッシュバックされるなどして「動き出す時間」を示します。
プッシュバックから滑走路端までタキシング(移動)し、離陸後ノーリターンポイント(トラブルがあってももうその空港には引き返さないと決めるポイント)を通過するまで最低でも約15分かかります。
- プッシュバック(5分)
- タキシング(5分)
- 離陸・ノーリターンポイント通過(5分)
空港の運用時間は、出発機がノーリターンポイントを通過するまでとなるため、この遅延したジェットスターが19:20に出発した場合、下地島空港の運用時間(19:30)を越えてしまいます。
運用時間の延長はできないのか?
空港や状況によって異なりますが、1時間以内の延長申請であれば基本的に認められているようです。
ちなみに伊丹空港は市街地にあるため騒音の問題などで運用時間21:00以降の延長は認められていません。
なぜ運用時間延長が認められなかったのか?
ここからはすべて予想となります。
運用時間延長は、「下地島空港管理事務所」と「宮古空港・航空路監視レーダー事務所 下地島空港分室」に対し申請すると思われますが、どちらかが認めなかった可能性があります。
下地島空港の運用時間は8:00〜19:30の11時間30分に対して、7月7日頃の定期便はたったの2便。
- 〈成田便〉10:25着 11:10発(45分間)
- 〈関西便〉18:15着 18:55発(40分間)
きっと空港はこう思ったでしょう。
定期便が2便しか飛んでないのに運用時間延長をするのか?
就航初日も延長、就航3日目で2回目の延長申請。
そして、
7月3日〜7月19日までは週4便運航で7月21日〜8月31日は毎日運航となるが、このままでは何回延長することになるのだろう?
と…。
僕はそのような背景から延長申請を認めなかったと予想します。
そもそも運航スケジュールに無理がある
先日、国土交通省の「特定本邦航空運送事業者に関する航空輸送サービスに係る情報」において、国内航空会社(国内線)の2018年4月~2019年3月における「定時運航率」と「欠航率」が公表されました。
ジェットスター・ジャパンの結果はというと
- 定時運航率は、81.58%で対象12社中10位
- 欠航率は、3.9%で対象12社中ワースト1
(定時運航率とは、出発予定時刻より15分以内に出発した便をいい、運航した便に対する率なので、欠航は反映していません)
運航100便に対し、3.9便が欠航、17.7便が15分以上の遅延をしたという計算に。
言い換えると自分が予約した便は21.6%の確率で欠航か遅延するということになります。
※一方の定時運航率(93.91%)・運航率(98.85%)ともに1位のスカイマークは、7.1%の確率で欠航か遅延するという計算になります。
運航スケジュールでは、関西行GK378便が18:55出発で計画されていますが、前述のとおり20分程度遅延するだけで運用時間延長対象に。
結論:そもそも運航スケジュールに無理がある
安かろう悪かろうで孤島化した下地島に放り出されるのだけは勘弁していただきたい。
せっかく就航した下地島路線。末永く安定した運航をしてほしいと願うばかりです。
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