ANAの大型機が30機も削減されるかも
新型コロナウイルスの影響により航空需要が激減し、世界各国の航空会社は窮地に立たされています。
日本においては、LCCのエアアジア・ジャパンが日本からの事業撤退など衝撃のニュースが飛び込んできましたよね。
日本の航空業界ではエアアジア・ジャパンだけでなく国内最大手の全日本空輸(ANA)も2021年3月期連結決算の最終利益が過去最悪となる約5,000億円の赤字(前期は276億円の黒字)に陥る見通しとなるなど、かなり経営が苦しい模様です。
東京オリンピックに向けて、国際線新規路線を開設し、国際線に使用する大型機を増やすといった戦略が新型コロナウイルスの発生によって裏目に出てしまった感じでしょうか。
航空需要が激減したこの時代において、国際線仕様機や大型機の所有はかなりの負担のはず。
羽田空港の第2ターミナルは改修し、国際線施設を新設したりもしましたしね…。
国内線の需要は徐々に回復傾向ではありますが、旅客収入の半数を占める国際線の回復は現在のところ全く見通せない状況です。
そんな中、少しでも赤字を減らすべく、大胆にも使用する旅客機の1割に当たる25~30機程度の大型機を削減するといった報道がなされました。
大型旅客機とは
ANAが大型機を削減といってもどの飛行機のことを言っているかおわかりでしょうか?
大きな飛行機を「ジャンボジェット」、小さな飛行機を「セスナ」と呼ぶ人がたまにいますが、それは間違い。
旅客機の中でも大型機と小型機の明確な分け方があるので、簡単に説明しましょう。
ナローボディ機
機内の通路が1本の飛行機は、ナローボディ機と呼ばれ、旅客機の中では小型機に分類されます。
Boeing 737シリーズ
Boeing 737-800
Bombardier DHC-8 Qシリーズ
Bombardier DHC8-Q400
Airbus A320シリーズ
Airbus A320-200neo
ワイドボディ機
機内の通路が2本の飛行機は、ワイドボディ機と呼ばれ、旅客機の中では中・大型機に分類されます。
Boeing 767シリーズ
Boeing 767-300
Boeing 777シリーズ
Boeing 777-200
このように旅客機でいう小型機とは、機内の通路が1本の飛行機をいい、大型機とは、機内の通路が2本の飛行機をいいます。
ANAグループの飛行機の分け
ANAグループが運航している飛行機で言うと、このように区分けすることができます。
小型機
- DHC8-Q400
- B737-700
- B737-800
- A320-200
- A321-200
大型機
- B767-300
- B777-200
- B777-300
- B787-8
- B787-9
- B787-10
- A380-800
削減するのはボーイング777型機
報道によると、ANAは54機保有する大型機のボーイング777型機を長距離国際線機を中心に約半数に削減する計画とのこと。
大型機は大量の旅客を一気に輸送することができる一方で、着陸料や整備にかかるコストが小型機に比べ高額。
燃費もかなり悪いため、機材の削減により維持費などのコスト削減を図る模様です。
ボーイング777型機とは
アメリカのボーイングが開発した大型ワイドボディの双発ジェット機。
トリプルセブンと呼ばれるやつですね。
基本サイズである777-200型機と、胴体を延長することで収容力を増した派生型の777-300型機の2機種があり、ANA国内線では需要の多い羽田〜新千歳・伊丹・福岡・那覇を中心に運航されています。
また、燃料タンク容量の増加やエンジン推力の増強により航続距離を延長させER(Extended Range)機や、さらに航続距離を延長させたLR(Longer Range)機などもあります。
退役機を大胆予想
※( )内は登録年月
B777-200 19機保有
ANAは19機のB777-200を保有しており、そのうち非ER機は7機、ER機は12機。
機齢20年オーバーが7機、10年オーバーが7機となっています。
B777-200(非ER) 7機
- JA702A (1997.06)
- JA704A (1998.03)
- JA705A (1998.04)
- JA711A (2004.06)
- JA712A (2004.10)
- JA713A (2005.03)
- JA714A (2005.06)
B777-200ER 12機
- JA707A (1999.10)
- JA708A (2000.05)
- JA709A (2000.06)
- JA710A (2000.10)
- JA715A (2006.05)
- JA716A (2006.06)
- JA717A (2006.08)
- JA741A (2012.04)
- JA742A (2012.05)
- JA743A (2013.03)
- JA744A (2013.05)
- JA745A (2013.06)
B777-300 35機保有
ANAは35機のB777-300を保有しており、そのうち非ER機は国内線で運航されている7機、ER機は28機。
機齢20年オーバーが5機、10年オーバーが21機となっています。
B777-300(非ER) 7機
- JA751A (1998.06)国内線
- JA752A (1998.08)国内線
- JA753A (1998.07)国内線
- JA754A (1998.10)国内線
- JA755A (1999.04)国内線
- JA756A (2003.05)国内線
- JA757A (2003.06)国内線
B777-300ER 28機
- JA731A (2004.10)
- JA732A (2005.04)
- JA733A (2005.10)
- JA734A (2006.03)
- JA735A (2006.06)
- JA736A (2006.09)
- JA777A (2006.10)
- JA778A (2007.01)
- JA779A (2007.04)
- JA780A (2007.05)
- JA781A (2007.09)
- JA782A (2008.01)
- JA783A (2008.08)
- JA784A (2010.01)
- JA785A (2010.03)
- JA786A (2010.05)
- JA787A (2010.06)
- JA788A (2010.07)
- JA789A (2010.07)
- JA790A (2015.03)
- JA791A (2015.04)
- JA792A (2015.05)
- JA793A (2019.07)
- JA794A (2019.10)
- JA795A (2019.07)
- JA796A (2019.12)
- JA797A (2019.10)
- JA798A (2019.12)
30機退役予想まとめ
機齢20年を超えたボーイング777-200(ER) 7機
- JA702A (1997.06)
- JA704A (1998.03)
- JA705A (1998.04)
- JA711A (2004.06)
- JA712A (2004.10)
- JA713A (2005.03)
- JA714A (2005.06)
スターアライアンス塗装のJA711AとJA712Aも対象と予想。
機齢10年を超えた非ER機のボーイング777-200 4機
- JA707A (1999.10)
- JA708A (2000.05)
- JA709A (2000.06)
- JA710A (2000.10)
機齢10年を超えた長距離国際線用のボーイング777-300ER 19機
- JA731A (2004.10)
- JA732A (2005.04)
- JA733A (2005.10)
- JA734A (2006.03)
- JA735A (2006.06)
- JA736A (2006.09)
- JA777A (2006.10)
- JA778A (2007.01)
- JA779A (2007.04)
- JA780A (2007.05)
- JA781A (2007.09)
- JA782A (2008.01)
- JA783A (2008.08)
- JA784A (2010.01)
- JA785A (2010.03)
- JA786A (2010.05)
- JA787A (2010.06)
- JA788A (2010.07)
- JA789A (2010.07)
スターアライアンス塗装のJA731Aや、「スターウォーズ BB-8 ANA JET」のJA789Aも対象と予想。
あくまでもこれは僕の予想でしかありませんが…
事業構造計画発表会見で明かされるのは…
2020年10月27日に開かれる事業構造計画の発表会見では、ボーイング777型機の削減だけでなく、参加のピーチ・アビエーションとのコードシェアによる路線移管なども発表される模様です。
そのほかにも引き取りを求められている現在使い道のない超大型機エアバスA380「Flying Honu」3号機の受領についてや、国内線の羽田・伊丹路線への集約など、どのような発表がされるのか気になるところです。
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