久々にレビューしたくなる映画があったのでご紹介します。
7500とは
AmazonPrimeで配信されている「7500」。
こちらはAmazonスタジオが作成しているので、完全にアマゾンオリジナルビデオとなっています。
さて、この「7500」というタイトルですが…
ズバリ、ハイジャックされたときの緊急コードが7500。
万が一ハイジャックされた場合、パイロットはこのコードで助けを求めます。
映画は、ベルリン発パリ行きの旅客機が舞台。
1時間半すべてパイロット目線、すべてコクピット内で進みます。
BGMや非現実的なものは一切なく、「一人のパイロットの日常が一転する」のをただただ見せられるといったものです。
見る前は「ハイジャックものかー、飛行機好きだし一応みとこ…」ぐらいのものでしたが
いやー、重いし暗い!!!!!!
暗いっていうのは内容もだけど、画面も暗いです。
照明なんかも飛行機そのままだと思います。
ハイジャック犯の動機について、映画内で詳しくは語られません。
ただ分かるのは、ドイツのイスラム教徒で移民だということ。
ハイジャック犯は途中で仲間割れしますが、このハイジャック犯同士の関係も明らかにされていません。
本当に説明がなく、ただただパイロット目線なのです。
パイロットの恋人がCAで同乗していますが、最後にハイジャック犯が捕まって恋人とキスしておしまい、なんて「映画」ではなく
恋人は序盤で殺されます。リアルで絶望しかないです。
そんな絶望の中、パイロットはどう動くのか?
重いし見た後「えっ、終わりか…!?」というヨーロッパの映画にありがちなモヤっと感はすごいんですが
あっという間の1時間半でした。
本当にハイジャックって日常の中で急に来てドラマチックな展開とかもなくただただ絶望なんだろうな、と思わされます。
映画の初めに、空港内の監視カメラの映像が数分流れて「いつもの空港」を感じられるのですが
見終わった後にもう一度見ると、犯人達が普通の乗客と同じようにボディチェックを受けたりお土産を見たりして日常に溶け込んでいるのが分かってますますゾッとします。
この映画はホラーだったのかしら…。
なぜハイジャックしたのか?考察
これもパイロットには明かされていないので、私たちも知ることができません。
ここからは予想になりますが。
主人公とCAは子持ちの恋人同士。
アメリカ人の主人公とトルコ系の恋人はドイツ在住。つまり移民。
「子どもの幼稚園が見つからない、ドイツ人が少ないところに通わせたい」「分かるでしょ?」という恋人。
なぜドイツ人が少ないところがいいのか?
ドイツは移民問題が深刻で、トルコ系の恋人は恐らくイスラム教徒で差別を気にしていることが考えられます。
【WEDGE REPORT】移民“侵略者”への強い憎悪、独で「反イスラム・テロ」9人殺害
子どもがいるのに結婚していないのも、移民問題があるからかもしれません。
また、途中でCAが「今日は特別食が多くて忙しい」とも言っています。ムスリムの乗客が多くてハラール食が多いということでしょう。
序盤で「ドイツ、移民、イスラム教徒」というキーワードがちょこちょこ顔を出しますので、見逃しているとなんのこっちゃ、な映画になります。
後半で18歳のハイジャック犯がお母さんと電話するシーンがあるのですが
「ここは嫌だ、家に帰りたい」と泣きながら言います。
こんなことしたくなかったんだろう、何があったんだろうと、想像してしまいます。
Amazonプライムビデオレビューにて「レイシズム丸出しのイスラム教徒=悪、白人至上主義映画で酷い」というものがありましたが、うーん、そうとは思わない。
私は面白かったです!
おすすめ度★★★★☆
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