アントノフ国際空港の戦い
飛行機ファンなら一度は見たい、世界最大の航空機「アントノフAn-225ムリーヤ(Mriya)」。
エンジンが6発も付いた怪鳥とも呼ばれるこの飛行機が2022年2月27日、ウクライナの主都キエフ周辺でロシア軍によって破壊されました。
Antonov An-225 Mriyaとは
アントノフ航空のムリーヤ(An-225 Mriya)とは、ソビエト連邦ウクライナ共和国のアントノフ設計局(現・ウクライナのANTK アントーノウ)が開発した、世界最大の大型輸送機で、たった一機しかない貴重な飛行機です。
エンジンは6発、タイヤは16対あり、その大きな翼とボディは「怪鳥」と呼ばれることもあります。
ヘリコプターや飛行機などの大きな荷物を運ぶ輸送用飛行機で、1988年に初飛行。一般の旅客機とは異なります。
「ムリーヤ」とは“Dream”を意味するウクライナ語で「夢、希望」。
NATOコードネームは「Cossack(コサック)」。
#Antonov Airline’s #AN-225 Mriya returned to the commercial market by safely transporting equipment from the Middle-East to the United Kingdom, supporting a withdrawal in #NATO presence from the region.
— ANTONOV Airlines (@AirlinesAntonov) July 2, 2021
The AN-225 Mriya – the only one in the world – has cargo capacity up to 250 t pic.twitter.com/IREkYptxxT
日本とムリーヤ
旅客機ではないため、その姿を見られる機会は限られています。
日本への飛来歴は2010年2月9日、ハイチ大地震復興支援での什器類100トン以上を輸送するために防衛相が成田にチャーター。これが初飛来でした。
その他には2010年6月21日、テクニカルランディングのためにセントレア空港に。
2011年3月には東日本大震災の支援のためにフランス政府が成田空港と仙台空港にチャーターしました。
その後は少し空き、2020年に新型コロナウイルスのパンデミックに関連した医療物資の輸送で5月23日、5月29日、6月3日にセントレア空港に飛来しました。
「夢」を破壊した意味
ムリーヤはウクライナのホストーメリ空港(アントノフ国際空港)を拠点としていましたが、2022年2月24日、ホストーメリ空港はロシア軍空挺部隊によるヘリボーン作戦によって占拠されました。
この作戦の際、炎上するAn-225の格納庫の画像や、An-225が破壊されたとする情報がネット上で瞬く間に広がりました。
占拠当時は「An-225は破壊されていない」とのアナウンスがありましたが、2月27日にウクライナ政府より正式に「破壊された」との発表がありました。
このムリーヤは多くの「世界最大」「史上最大」を誇っており、ウクライナのプライドとも言える飛行機です。
このプライドを破壊する行為はウクライナの人々に大きな精神的ダメージを与えたと同時に、世界中の人々にも大きなショックを与えたと思います。
私たち飛行機ファンにとっても、An-225が飛来となるとお祭り騒ぎで、有休を取って遠征するのは当たり前でした。
早朝に船をチャーターして撮影しに行ったことも。
今後どうなっていくのかは分かりませんが、とにかく一刻も早い終戦を願うばかりです。
最後に、破壊されたムリーヤの報道を貼っておきます。涙が出ます。
Russian State TV report from Gostomel Airport in Kyiv. Sadly An-225 completely destroyed. pic.twitter.com/9kN04Gkz91
— Aldin 🇧🇦 (@aldin_ww) March 4, 2022
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